ほそえ氏
「惨敗宣言」に寄せて  二年三組38番 丸野直也

今回細江氏のソロアルバム惨敗宣言を聞いてみた。まずそのアルバムタイトルからして鬼気迫るものがある。そして裏ジャケの写真。細江氏が自身の部屋でパジャマ姿で横たわっている、その傍らに赤い文字で大きく惨敗と書いてある。してやられたと私は思った。私にはまだそこまで宣言する度量はない。人生の勝ち組、負け組という言葉が飛び交っている昨今の日本。負け組だとわかっていながらそれを認めたくない人が大多数を占める中で彼 細江氏は人生の負けをいや惨敗を宣言しているのである。そこには自身のプライドも威信も全て捨てた裸の男の姿がある。惨敗を宣言するに当たって単なる開き直りととる人もいるかもしれないがこのアルバムに収められた曲を聴くとそれが開き直りというレベルでは括れない常軌を逸したものであるということが私には分かる。彼の声、ギターの音、リズム、サンプリング音、全てのものが細江祐司という惨敗を宣言した神々しい裸の男を通過したものだということが私には分かる。一人の男の苦悩と葛藤、憤り、鬱屈感、やるせなさ、すべてを体現した男の姿がそこにあるというのも私には分かる。何故お前みたいな鼻垂れ小僧にわかるのか?と聞かれても私は I do not understand.と答えることしかできない。このアルバムの惨敗サウンド、グルーブに犯された私にもはや言葉で意見をする手段は残されていないのである。神々しい男の出すパワーに言葉などは必要ないのである。さぁ彼の惨敗宣言をあなたはいかにして傍受しますか?希望をとりますか?絶望をとりますか?今回私は細江氏のアルバムに初めて携わったが彼の惨敗宣言の一端を担うことができ、そして細江氏と出会えたことにあらためて感謝をしたいと思った。惨敗を宣言するにあたって勝ちでも、負けでもない新しい価値観を細江氏を通じて、この「惨敗宣言」を通じて私の体内に流れるのを感じることができたからである。
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